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和歌山県立医科大学 麻酔科学教室

臨床<Clinic>

臨床麻酔

和歌山県には、県立病院、子供病院、がんセンターがなく、和歌山県立医科大学附属病院がこれら全ての役割りを担っています。 したがって、新生児から高齢者まで、そして救急疾患・外傷疾患から悪性腫瘍症例まであらゆる症例の麻酔を経験できる数少ない国公立大学病院です。 手術室は19室あり、1日20〜25件の手術症例を管理しております。

2014年4月に手術室を7室増設、ハイブリッド手術室運用開始。

小児麻酔研修について

小児麻酔研修について

写真:研修の様子 当科では小児から成人まですべての患者さんの全身麻酔管理を行っています。
また、当院は総合周産期母子医療センターとしての役割も担っており、生まれたての赤ちゃんが手術室に来ることも稀ではありません。
当科では以下の診療科・疾患に対する手術で小児麻酔を経験できます。

心臓血管外科 先天性心疾患(心房中隔欠損症、心室中隔欠損症、ファロー四徴症など)
消化器外科 鼡径ヘルニア、中心静脈カテーテル挿入、内視鏡検査、胆道閉鎖症など
整形外科 骨折、側弯症、多指症、筋生検など
脳神経外科 脳腫瘍、水頭症など
泌尿器科 停留精巣、精巣捻転など
眼科 斜視、眼瞼内反症、網膜剥離、眼底検査など
耳鼻咽喉科 アデノイド肥大、慢性扁桃炎、中耳炎など
皮膚科 母斑、血管腫など
歯科口腔外科 口唇口蓋裂、齲歯など
救急部 急性虫垂炎など

小児麻酔は少数の麻酔科医によって行われる特殊な麻酔であるとのイメージを持たれていますが、決してそのようなことはありません。
当院にも上記のようにさまざまな疾患を持った多くの小児がやってきます。
「小児は成人を単に小さくしたものではない」とよく言われるように、小児麻酔を行うには疾患についてのみならず、 小児特有の解剖、生理、薬理学的知識が必要です。
また、成人が持っていないような先天的な基礎疾患を持っている小児に対しては基礎疾患に合わせた周術期管理を行わなければなりません。
研修医の皆さんも慣れないうちは成人との違いに戸惑うかもしれません。
小児専門施設とは異なり、毎日小児患者の麻酔を経験できるわけではありませんが、苦手意識を持たず、担当した症例を大切に研修してください。

心臓麻酔について

和歌山医大で心臓手術の麻酔を学ぶ

心臓手術の麻酔には、その循環管理の煩雑さから、大掛かりで難しく、外科の先生からも循環管理に注文が多いという、ややネガティブなイメージが従来から定着していました。 不十分なモニタリング環境のもとで、循環動態の不安定な患者に対し、大きな侵襲である心臓手術を安全に施行するには、これもいたしかたのないことだったのかもしれません。

そんな心臓麻酔も2000年ごろから急速に普及した経食道心エコー(TEE)によってその姿が一変しました。 血圧や心拍数しか情報がなかった以前と比較すると、心血管の形態や血流の変化が分かるようになったほか、外科手術自体の成否や発生しつつある合併症までもが術中に診断できるようになったのです。 写真:研修の様子 このことは近年の心臓手術の質を大きく向上させると同時に、心臓手術に携わる麻酔科医にとっては、TEEを使いこなして麻酔や手術に役立てる新たなスキルが要求されることになりました。 現在はこのようなツールを生かすことで、麻酔科医も心臓外科医や体外循環技師と組んでチームワークで心臓手術を成功させる時代になってきています。

このようにTEEに習熟して心臓手術麻酔に生かせる技術の保証として、2004年から周術期経食道心エコー認定医試験(JB-POT)が我が国でも開催されるようになりました。 当施設でも現在までに多くの認定医を生んでいます。さらに2009年から心臓血管麻酔専門医の認定もスタートし、これにあわせて当施設も心臓麻酔専門医のいる認定研修施設として認可されました。 当施設では成人心臓手術から大血管手術、小児先天性心疾患手術にいたるまで、幅広い症例が研修可能で、地方病院でありながら症例に恵まれた希有な施設です。 今後、心臓血管麻酔専門医の取得を目指す方々には、この偏りのない経験症例数が必須条件になります。 私たちは若い皆さんのスキルアップをお手伝いすることで、心臓手術の麻酔の発展に寄与したいと考えています。

グラフ:心臓血管手術症例数

区域麻酔について

超音波ガイド下末梢神経ブロック

写真:研修の様子

近年、深部静脈血栓症や肺塞栓症の予防対策として、周術期の抗凝固療法が用いられる機会が増えてきました。これに伴い、術中・術後鎮痛法として硬膜外麻酔が適応外となる症例が増加しています。そこで代替策として急速に普及してきたのが末梢神経ブロックです。しかし従来のランドマーク法や通電刺激法では成功率が高くありませんでしたが、超音波診断装置を併用することで神経・周囲の組織・ブロック針・局所麻酔薬の広がりを視認することで確実性・安全性が増しました。  当施設でも整形外科関節手術・呼吸器外科・消化器外科・泌尿器科手術や大動脈瘤の血管内ステントグラフト手術の症例などで、超音波ガイド下末梢神経ブロックを積極的に行っています。

手術に用いられる末梢神経ブロック

右表のように上肢・下肢・体幹の末梢神経ブロックを症例に応じて行っています。術後鎮痛に使用できるように、可能な症例はカテーテルを挿入し、持続末梢神経ブロックを行うようにしています。従来の硬膜外麻酔と比べても遜色のない術中鎮痛と術後鎮痛が得られています。

当教室では関連病院でも積極的に超音波ガイド下末梢神経ブロックを行っているため、数多くの症例を経験することが可能です。一般に一つの手技が一人で出来るようになる目安として、30症例の経験を積むことが目標とされています。

後期研修医を含めた若い先生方に、なるべく短期間で集中的に症例を経験するようにし手技を獲得してもらうよう心掛けています。これからも末梢神経ブロックを含めた新しい手技を身につけてもらい、和歌山の医療に貢献していきたいと考えています。

研修の様子

女性のためのキャリアサポート

女性医師を
サポートする4つの勤務体制

和歌山県立医科大学麻酔科では、結婚、出産、育児などさまざまな事情で休業したり、勤務をセーブしたりしている女性医師をサポートするため、勤務体制を4つのコースから選択できるようにしています。

勤務体制4コース一覧

女性麻酔医師の声

「仕事と家庭の両立」

中田亮子

私は、現在卒後12年目で、8歳を筆頭に3人の子供を育てながら仕事を続けています。 麻酔科を志望しようと思ったのは、麻酔に興味があったのはもちろんですが、子育てをしながらでも仕事を続けやすい環境にあると思ったからです。

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育児は思い通りにいかないことも多く、仕事と家庭を両立するのには、様々な制約があります。 その制約の中で、私のおかれた環境を理解し、仕事を続けられるように配慮してくださる職場の方々や夫の協力無くしては、今の自分はありません。本当に感謝しています。

職場では、当直を免除して頂いたり、急な子供の体調不良の際には突然休暇を頂くこともしばしばです。 産休明けて復職した際には、今までのように働けない自分が情けなく、周りに迷惑をかけていることを気にしてばかりの頃もありました。 それでも私の立場を理解し、手を差しのべてくれる方が沢山いました。人のおかれた環境は様々で、またその環境は変化していきます。 今はその環境の中でできることを見つけ少しずつでも前に進んでいこうと思っています。

これまで、思いがけない困難にぶつかり自分を見失いそうになることもありました。その時には、同じように子育てをしながら働いている先輩医師や友人に何度も励まされ、助けられました。 まだまだ未熟な私ですが、今後は後輩医師が同じ環境で悩んでいるときにはサポートしていく番だと思っています。

麻酔科に興味のある方、一緒に働いてみませんか?

「ママ麻酔医の声」

直川里香

私は、徳島大学卒業後に大阪大学麻酔科学教室へ入局し、約6年間大阪大学関連病院に勤務しました。徳島大学時代に知り合った主人と卒後3年目に結婚しました。 主人は和歌山出身で、和歌山県立医科大学の整形外科教室に入局していたため、2年弱別居しておりました。

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その後、妊娠を機に大阪大学麻酔科と和歌山県立医科大学の暖かい取り計らいで一緒に暮らせるように主人を大阪の病院へ異動させていただき、 ようやく家族3人で仲良く暮らせるようになりました。そして、主人の異動を機に、私は、和歌山県立医科大学麻酔科学教室に入局し,現在に至っております。

和歌山では、主人の勤務地の関係で、新宮市民病院で麻酔科生活をスタートしました。そして、子供を2人授かり、娘3人の母親となりました。 紀南地方での子育てと麻酔科医の両立はなかなか過酷を極めましたが、周りの暖かい励ましと助けでなんとか平日の手術麻酔をこなしておりました。 一方で、幼い子供を抱えているとオンコールや当直はなかなかできませんので、免除してもらっていました。 長女の小学校入学直前に和歌山市に戻って参りまして、和歌山県立医科大学附属病院勤務となりました。

大学病院では、曜日を固定していただいて当直とオンコールをすることにしました。 和医大麻酔科の先生方からは、「無理することないよ、当直しなくても」、といわれましたが、私は自分の技術とキャリアにブランクを持つことに不安を覚え、 やっぱり最前線で働きたいと自分から当直、オンコールを希望いたしました。だからといって他のママ麻酔医に当直やオンコールを強要するつもりは毛頭ありません。 私が当直、オンコールをするのは、子供が成長して自分の手から離れてしまったときに、自分には何が残るだろうという危機感が強く、せめて麻酔科医として人から必要とされる人になりたいと思ってのことです。

麻酔科の仕事は、たくさんの考えや人に出会えてとても新鮮です。子供のことも色々相談できて、とても助かります。 もちろん子供の学校行事や幼稚園行事でしょっちゅう抜けさせていただいているのですが、他の先生方は「行ってあげた方が子供は喜ぶよ〜〜」と快く送り出してくれます。 私は平日当直、オンコールしかしておりませんが、休日当直、オンコールをしているママ麻酔医もいらっしゃり、その先生のがんばりをみていると私もがんばらなくちゃと思います。

このように他大学出身、他大学医局出身の完全なる外様の私ですが、和医大麻酔科の先生方の親しみやすさと、和歌山というこじんまりした土地柄がとても居心地よいです。 和歌山は待機児童0です!!大阪の保育園事情と比べるとこの差は衝撃です。また、和歌山は医師不足ですので女医さんがやめる率が少ないと思います。 他の科でも女医さんは半数います。そういう意味で、まわりの理解があって、もとても働きやすいです。

これからは、子供も徐々に大きくなり手がかからなくなってくると思いますので後輩に麻酔科の魅力を伝えていけたらな、と思います。 そして、今度は今まで助けてくれた人のご恩に報いるために自分が人を助けてあげられたらな、と思います。

ママ麻酔科医の一日

グラフ:ママ麻酔科医の一日

ペインクリニック

内科・外科から紹介された急性疼痛および慢性疼痛患者様に対して、西洋医学のみでなく東洋医学を取り入れ神経ブロックを併用したきめ細やかな緩和医療を心がけています。

ペインクリニックについて

写真:治療の様子 当大学ではペインクリニック(=痛みに対する治療)として、麻酔科医が、外来や入院下にて痛みに対する様々な治療にあたっています。 実際には大規模病院以外では、受診科として存在しない所も多く、一般的に知名度が低い原因となっていますが、和歌山県立医科大学では1つの診療科として治療にあたっています。
また痛みに対する治療だけではなく血流障害を含む病気や、痛みとは関係のない意外な病気に対する治療も行っています。

ここではペインクリニックの対象疾患や治療法について簡単に説明します。 痛みで苦しんでいる1人でも多くの患者様に知っていただき、少しでも役立てることを期待しています。

実際には各患者様によって最適の治療法は異なるため以下の説明だけでは十分ではありません。
痛みの感覚は個人差があるので、治療の効果と起こり得る合併症について説明し治療法も患者様側と医療者側との相談で決定することになります。

痛みの悪循環

痛みの存在は、局所の血管収縮を始めとした様々な反応を示します。
この一連の反応は悪循環を引き起こし、“痛みが痛みを呼ぶ”状態をもたらすことが一般的です。 ペインクリニックの痛みの治療は、それが例え一時的な効果しか持たない場合でも、その悪循環を絶ち切ることで、永続的あるいは長期的な効果をもたらす場合が多くあります。

ペインクリニックでよく使用される局所麻酔薬は、虫歯を抜くときに使用するのと同種の2〜3時間の効果のみの薬ですが悪循環を断ちきり体の治癒力を上げます。
また痛みは、刺激に対する不快な感情であり心身両面からの治療が必要となる場合も多いです。

図:痛みの要因

無痛分娩

欧米では大部分の出産に何らかの痛み止めが使用されており、その中で最も一般的な方法が「硬膜外麻酔による無痛分娩」です。 最近の米国でも、毎年の全分娩数の約6割にあたる240万例が硬膜外無痛分娩であると報告されています。
和歌山医大では、産科医や助産師と協力し、麻酔科医が積極的に無痛分娩を行っています。

無痛分娩 〜痛みの少ないお産〜

一人の女性が出産を経験する回数が少なくなるにつれ、一回の出産の持つ意義はますます大きくなっています。 個性や多様性が重視される現在、お産の痛みに対する考え方も人それぞれで、痛みは我慢してでも自然に出産したいと考えている方もいらっしゃれば、 できるなら痛みはなるべく感じないで出産して体力を温存したいと考える方もいらっしゃいます。

和歌山県立医科大学附属病院は、総合周産期母子医療センター の指定を受け、地域の医療機関と連携して高度医療を行う専門病院ですが、 皆様にとっては未来を担うお子様とその御家族、お母様、お父様の健康を守る身近な病院です。 当センターでは妊産婦さん一人一人の出産に対する考え方を尊重し、希望される方は「硬膜外無痛分娩」を選ぶことができます。

麻酔科の外来でお配りしている無痛分娩についての パンフレット を掲載させて頂きました。 無痛分娩を希望される方は、和歌山医大産科外来を受診して頂き、担当産科医に「無痛分娩希望」とお伝え下さい。

緩和ケア

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緩和ケアチームは、あなたが1日も早くがんの痛みなどのつらい症状から解放され、あなたが希望する療養生活を送ることができるように主治医や受け持ち看護師と一緒に考えます。

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