痛みのメカニズム
麻酔科学は手術時の痛みを克服するために生まれた学問です。私たちは、末梢でどのように痛みが感知されるか、脊髄でどのように痛みが修飾されるか、脳でどのように痛みが認知されるか、を動物・ヒトで研究しています。
最近では、がんの痛みの研究を進め、これまでブラックボックスであったがんの痛みのメカニズムを明らかにするとともに、新たな治療法を探索しています。
がんの痛みに関する研究成果
- Niiyama Y, Kawamata T, et al. Neuroscience 148:560-72, 2007.
- Yamamoto J, Kawamata T, et al. Neuroscience 151:843-53, 2008.
- Kawamata T, et al. Neuroscience 154:1067-76, 2008.
- Niiyama Y, Kawamata T, et al. Br J Anaesth 102: 251-8, 2009.
- Kawamata T, et al. Neuroreport 20: 233-7, 2009.
- Furuse S, Kawamata T, et al. Anesthesiology 111:173-86, 2009.
- Yanagisawa Y, Furue H, Kawamata T, et al. Mol Pain 6:38, 2010.
- Kiya T, Kawamata T, et al. Neuroscience 174:190-9, 2011.
- Suzuki M, Narita M, Hasegawa M, Furuta S, Kawamata T, et al. Anesthesiology 117 : 847-56, 2012.
周術期の臨床研究
手術室麻酔、外来など、臨床業務とともに、患者さんを対象とした臨床研究を行っています。
(臨床研究に関するお知らせ)
和歌山県立医科大学附属病院心臓血管外科において狭心症および心筋梗塞で手術を受けた患者さんへ
和歌山県立医科大学麻酔科学講座では、以下の臨床研究を実施しています。ここにご案内するのは、過去の診療情報や検査データ等を振り返り解析する「後ろ向き観察研究」という臨床研究で、本学倫理審査委員会の承認を得て行うものです。すでに存在する情報を利用させて頂く研究ですので、対象となる患者さんに新たな検査や費用のご負担をお願いするものではありません。また、対象となる方が特定できないよう、個人情報の保護には十分な注意を払います。
この研究の対象に該当すると思われた方で、ご自身の診療情報等が利用されることを望まない場合やご質問がある場合は、下記の問い合わせ先にご連絡ください。
1.研究課題名
当院のoff-pump CABGにおける同種血輸血施行の背景因子に関する後ろ向き観察研究
2.研究責任者
和歌山県立医科大学麻酔科学講座 助教 吉田 朱里
3.研究の目的
輸血の安全性は近年向上していますが、依然として肝炎やエイズなどの輸血感染症や輸血関連急性肺障害といった問題点があります。人工心肺非使用心拍動下冠動脈バイパス術(off-pump coronary artery bypass(off-pump CABG))では輸血率が低いことが報告されている一方、心臓血管外科手術における輸血使用量は、施設間差が大きいことも指摘されています。本研究の目的は、当院のoff-pump CABGにおける輸血施行の現状と輸血を行った背景因子を明らかにすることです。これらが明らかになることで、適正な準備血液製剤の量が明確となり、不必要な輸血を回避できる可能性があります。
4.研究の概要
(1)対象となる患者さん
狭心症および心筋梗塞の患者さんで、平成24年1月1日から平成28年3月31日までの期間中に、人工心肺を使用しない冠動脈バイパス術(off-pump CABG)を受けた方
(2)利用させて頂く情報
この研究で利用させて頂くデータは、
①患者さんの背景(年齢、身長、体重、合併症など)
②血液検査結果(ヘモグロビン濃度、凝固検査など)
③手術(手術時間、麻酔時間、輸血量、輸液量など)
④術後経過(人工呼吸時間、集中治療室滞在時間など)
に関する情報です。
(3)方法
電子カルテ上の診療記録および麻酔記録から上記のデータを収集し、輸血施行率を算出し、また輸血と背景因子の関連について解析します。
5.本研究に参加することで予測される利益と可能性のある不利益
本研究は既に実施された手術症例を対象とし、電子カルテ上の診療記録および麻酔記録の情報を検討するため、特別な利益不利益はありません。
6.個人情報の取扱い
利用する情報からは、患者さんを特定できる個人情報は削除します。また、研究成果は学会や学術雑誌で発表されることがありますが、その際も患者さんの個人情報が公表されることはありません。
7.ご自身の情報が利用されることを望まない場合
臨床研究は医学の進歩に欠かせない学術活動ですが、患者さんには、ご自身の診療情報等が利用されることを望まない場合、これを拒否する権利があります。その場合は、下記までご連絡ください。研究対象から除外させて頂きます。なお、研究協力を拒否された場合でも、診療上の不利益を被ることは一切ありません。
8.問い合わせ先
和歌山市紀三井寺811-1
和歌山県立医科大学麻酔科学講座 担当医師 吉田 朱里
TEL:073-441-0611 FAX:073-448-1032
E-mail:akari@wakayama-med.ac.jp